STORY
いま届けたい希望と再生の物語
ふたつの仕事をかけ持つ阿川佳代、28歳。コンビニ勤務は至って平穏だが、もうひとつの務めは波乱に満ちていた。
元受刑者の更生を助ける保護司という仕事で、
国家公務員だがボランティアのため報酬は一切ない。
それでも阿川は、次々と新たな問題を起こす前科者たちを、「あなたは崖っぷちにいます!」と厳しく叱り、
「落ちたら助けられなくなります」と優しく励ます。
「もっと自分の人生を楽しめば」と周りには言われるが、何があっても寄り添い続ける覚悟に一点の曇りもなかった。
そんな中、阿川は殺人を犯した工藤誠を担当することになり、懸命に生きる彼を全力で支える。
ところが、工藤は保護観察終了前の最後の面談に現れず、社員登用が決まっていた自動車修理工場からも悠然と姿を消す。
折しも連続殺傷事件が発生、捜査線上に工藤が容疑者として浮かぶことで、
これまで阿川が隠してきた過去や“保護司になった理由”が明かされていく。
置いてきた過去に再び向き合う工藤、彼を信じてその更生に全力を注ぐ阿川。
二人がたどりついた先に見える希望とはーー?
保護司とは
保護司法・更生保護法に基づき、法務大臣から委嘱を受けた非常勤の国家公務員で、犯罪や非行に陥った人の更生を任務とする。活動内容に応じて実費弁償金が支給されるが、給与は支給されず、民間のボランティアによって成り立っている。
保護司法の第1条には、保護司の使命が次のように掲げられている。
「保護司は、社会奉仕の精神をもつて、犯罪をした者の改善及び更生を助けるとともに、犯罪の予防のため世論の啓発に努め、もつて地域社会の浄化をはかり、個人及び公共の福祉に寄与することを、その使命とする」。